ネタバレ特になし。
やはり《催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり》が卓抜と思う。政治の時代、闘争を生きる女子大生の清新さ潔癖さ、そして未成熟のいたましさが、レモンという象徴に結実して美しい。
その他にも、孤絶の感覚、失われたものへの哀惜が影を落とす、センチメンタルで美しい佳品が多いです。たまに情熱的な愛の歌が詠まれると違和感があるけど、全共闘世代の女性のライフヒストリィとしても興味深く読める作品です。
いっぽんの旗となりえぬ一行の詩がさむざむとわが裡に立つ
あと金子文子抄もよかったな。映画観ないとあかんなー。
君は君のわれはわれなるたましいの翼たたまむ夏草の中
評価はB。