井上雅彦『夢魔の幻獣辞典』角川ホラー文庫

ネタバレ一応注意。
龍やユニコーンといった有名どころをはじめ、グレムリンやケルピー、韃靼羊にカトブレパスと、それぞれ神話/奇譚中の「幻獣」たちをテーマとした、短編ホラー連作集。
テーマが明確なので、読んでいて安定感があります。無秩序にイメージ奔走させる長編のスタイルが合ってる人もいるかもだけど、この人は…読者である俺が、ってだけの話かもしれないが…こういう「枠」のかっちりしたもののがいいと思います。名品『竹馬男の犯罪』も、ミステリ・パロディという枠の中で遊んだ作品だったし。
「現駕察待請」氏による装挿画も、幻想画家らしい異界効果のある名前に違わずいい雰囲気です。
評価はC。