上遠野浩平『しずるさんと偏屈な死者たち』富士見ミステリー文庫

ネタバレ一応注意。
病床の美少女「しずるさん」と、その興に資するため、不可解な謎を面会の度に持ち込む「よーちゃん」による、ベッド・ディテクティヴ連作。
そんなに悪くない…という印象はあって、それはおそらくこのレーベルの底辺を既に見せつけられているからなのだけど。冷静になって見れば、安易に日常の謎に逃げないハードな事件設定には好感が持てるけど、それぞれのプロットにミステリとして評価できる部分はほとんどなく、設定描写含めてラノベ的短絡という先入観を覆すだけものは見出せなかった。
女の子はイラスト含めてかわいらしく描けてはいるけど、一方で冒頭から《第一発見者は、よりによって山の中で迷子になっていた遭難者からのものだった。》(91p)なんて、推敲校正の実施が疑わしい文章があって読む気が殺がれたりした。
評価はC。