若竹七海『火天風神』新潮文庫

ネタバレ注意。
三浦半島のうらぶれたリゾートマンションに滞在する人々が、巨大台風と、あと狂人に襲われるパニック・サスペンス。
当初、滞在者それぞれの視点でグランド・ホテル形式に展開、それがやがて収束していくのだけど、キャラクタが皆それぞれ厭な感じで感情移入できず。死人が出るたびに、「やった、これでこいつの分のどうでもいい話読まずに済むわ」とか思って、ハラハラドキドキできずになんか脱力しながらの漫然とした読書。パニック小説読むテンションにはなれなかったわ。
初期若竹って、キャラ造形と描写に独特の粘着質なところがあって、この小説でもやはりそれが悪い方に出てしまっていると思う。特に杉田に対峙する聡とか、マジでどうでもよかった。うすら寒かった。
台風じたいの脅威の描写もなんかなあ…力入れて書かれてるとは思うけど、不思議と像を結ばず、迫ってこなくて…相性の問題かなあ。
でもやっぱり、単純に下手だとは思う。
評価はC−。

火天風神 (新潮文庫)

火天風神 (新潮文庫)