枡野浩一『君の鳥は歌を歌える』角川文庫

ネタバレ特になし。
音楽や映画、小説や漫画に材を採ったコラムと、それに対するアンサー短歌を一首、という構成の本。
短歌の出来不出来…と言うか単なる好き嫌いはともかく、評されるモノに対する感覚というのはフィットする感じがある。『キッズ・リターン』のとこなんか、最初「はあ!? 映画史に残る名ゼリフだろうがよ」とか思って読んでたけど、最後に至っては結局納得してたし、中島らも評した文章なんてすごく好きだわ。
でも「特殊歌人」としての仕事を評価するならば、ベストはなんといっても『バトル・ロワイアル』に対するアンサー短歌だと思う。コレがよすぎる。高校生の頃『バトル・ロワイアル』から派生してこの一首に出会ったおかげで、この歌人および弟子筋の加藤千恵に手を出してきたと言っても過言ではない。
絶妙に青くて、痛くて、ロマンティック。あの他に類のない「青春小説」の、何よりの本質を衝いていると今でも思う。
評価はB−。

君の鳥は歌を歌える (角川文庫)

君の鳥は歌を歌える (角川文庫)