ネタバレ一応注意。
乱歩賞受賞作、だけど面白かった。
モーツァルトの死を巡る謎と陰謀を、ベートーヴェンとチェルニー師弟が、コンビ探偵として解明する歴史エンタテインメントミステリ。
コメディタッチで流麗な語り口、クールなベートーヴェンと快活なチェルニーの対比など、見事に立ったキャラクタ造形、フリーメーソンやサリエリ、「魔笛」の秘密と、モーツァルトにまつわるガジェットの過不足なく気の効いた配置…文庫化までに改稿を経ているだろうとはいえ、乱歩賞が新人賞であることを考えれば、実際驚異的とも言えるリーダビリティ。いい作品だとは聞いていたけど、楽しかったです。乱歩賞作って新旧問わずホント面白いと思えなくて、コレと『テロリストのパラソル』が(全然キャラ違うけど)双璧、あとは辛うじて桐野夏生と高野和明が読めたかな、ってぐらいの記憶。
最近の作品をあまり知らないのだけど、同時受賞の東野圭吾と比べて、作家として地位を確立できていないのが不思議な出来です。『放課後』なんかより、全然いいと思うよ。
評価はB+。
- 作者: 森雅裕
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/07
- メディア: 文庫
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