三浦明博『滅びのモノクローム』講談社文庫

ネタバレ注意。
乱歩賞受賞作…って、この肩書が俺にとってなんら誘因にならないとは常々書いてきたことですが、でもなぜか持っているのが不思議。
近年の受賞作の中でも評判が悪いのは知っていたので驚きこそなかったですが、それでもやっぱり、酷かったです。
基本的に、下手ですね。「戦争犯罪」なんて大上段に振りかぶったテーマを設定しておきながら、筆力と構成力がまったく追いついていなくて、なんだか不思議な、ふわふわした感覚の小説です。ご都合主義以前に、なんか困惑させられることが多かったです。投入している要素がすべて、纏まりと盛り上がりを欠いて浮遊しています。
特に残念なのはキャラクタ造形、どうでもいい政治批判カマしてくれる苫米地さんってキャラも謎の行動理念の持ち主だし、悪役の政治家とかそいつが裏仕事やらせてる妾腹の息子とか、まったく唐突で理不尽なキャラだけど、一番不快だったのは大西ってオカマのキャラクタ。オネエ言葉喋らせときゃ面白いだろ的な安直さがムカつく。118p付近でのたまわれる人生訓とか、マジにサブイボ立ちました。
評価はC。

滅びのモノクローム (講談社文庫)

滅びのモノクローム (講談社文庫)