島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』新潮文庫

ネタバレ特になし。
デビュー作ですが、別にいつも通りの島田雅彦として読みました。ちょっとクレイジースラップスティックとして。
サヨク」という必然性はあまり感じられないですね。ロシア人の人名がやたら出てくるくらいかな。登場人物たちの人格の、虚構性というか演技性というか、そういうものは前後して既読の島田作品にいくらでも見られるものだし。
そうした意味であとがきでの述懐、《僕は新世代の書き手として、六〇年代をどう見るかとか全共闘をどう捉えるかといった難問をふっかけられ、一時期軽いノイローゼになった》(190p)ってのはいかにもカワイソウ。出自(東京外大ロシア語?)とかも相俟ってたのだろうけど、無茶だろ。
…でも俺、その「難問」てのに非常に興味があるのですが、何読めばいいの?
まずは小熊英二だな。
評価はC。

優しいサヨクのための嬉遊曲 (新潮文庫)

優しいサヨクのための嬉遊曲 (新潮文庫)