大沢在昌『死角形の遺産』集英社文庫

ネタバレ一応注意。
初期作品らしいです。親本はわたくし生誕前の刊行。
なんと言いますか、非常に中途半端な作品でした。新興宗教というガジェットは好みなのですがなんだかヌルい描写だし、キーポイントにジョン・レノンを配置する意味も分からないし、なにより主人公の設定。序盤はその若手インテリ総会屋としてのクールでスタイリッシュな生き様がメインなのに、徐々に関係なくなって、普通の巻き込まれちゃんに堕したあげく、鳥人間コンテスト出場が趣味とか意味の分からない追加設定のもとにグライダーで敵から逃げたりすんの。前半のモテモテちょい悪ぶりはなんだったんだ。探偵役だって単なる友達で、金持ち設定も唐突だしなあ。
そんな言ってしまえば茶番劇の後の、ラストの一行も最悪に空疎でした。うまくねーし。頭使えし。
評価はC。

死角形の遺産 (集英社文庫)

死角形の遺産 (集英社文庫)