ネタバレ一応注意。
視点を変えて短編形式の連作長編。基本語りかけ口調の一人称。悪意や卑小さ、狂気をまとわせて。
…かように、『告白』とさして変わらない仕様となっております。いくら得意で、人気を博したとはいえ、「同じこと二回やってもしょうがないじゃん」と思ったし、悪いことに洗練の度合いでは数段落ちる。「悪意や卑小さ、狂気」てなことを書いたけど、作品に漂うその「厭な感じ」が、どうにも作為的で必然性の薄いものに感じられてしまった。「え、こういうことやるのがトガってると思ってんの?」という感じ。「くまの兄妹」なんてその典型だったなあ。
リーダビリティの部分は『告白』の時点で完成されていたし、人称効果もあってサクサクスイスイと読み進められるけど、連作通しての処理もなんかなし崩し的でカタルシスには乏しいし、『告白』よりはどうしたって点が辛くなりますね。
…しかし、『告白』の映画は楽しみにしてます。
評価はC+。
- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/06/12
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 198回
- この商品を含むブログ (139件) を見る