ネタバレ注意。
四国の山村を舞台にした伝奇ホラー。
怪異の設定やそれに対する対抗方策(とその導き方)もよく考えられているし、山村の排他性、そこにおける「他者」の孤独や感傷もうまく描けている。基本的には群像劇で、それぞれのストーリィが、サプライズを伴って結びつく終盤の展開にはカタルシスがあった。最近ホラー面白いと思ったことなかったけど、こういう理知的なホラー作品は「好み」と言えると思います。
キャラクタの造形や文章も破綻なくまとまっており、特にIターン就農で憧れの田舎暮らしを始めたおっさんの、違和感と挫折、そこから怪異に取り込まれてしまう流れはなんとも厭なリアリティがあって、「巧いなあ。ありそありそ」つってニヤニヤしてしまいました。こういう暮らしに憧憬がないわけでもなかったけど、吹き飛んだよw
ただ一点、対比的に描かれる「シブヤのジョシコーセー」の生態は、コントじみているほどにステレオタイプで笑ってしまった。まあそれも、愛嬌として捉えればなんてことはない。
評価はB。
- 作者: 宇佐美まこと
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2009/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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