伊島りすと『橋をわたる』角川ホラー文庫

ネタバレ特になし。
…何を書きたいんだかよく分かりません。
主人公は飲血嗜好者で、血を口にすることで対象の記憶や感覚を共有できる。それを指して「橋をわたる」というのだけど…別にうまくねーし。
その部分になにか優れてトリッキィなプロットが凝らしてあるわけでもなく、サイコホラーなんだかヴァンパイアものなんだかスプラッタなんだか、よく分かりませんでした。舞台となる塾での子供どうしのいじめとか、崩壊家庭の描写なんかも含めてすべてがヌルく、「それらしい」要素を200p足らずの小品に無理矢理並べ立てただけの話。文章も軽薄で印象は悪い。
最初からこの長さでのオーダーだったにせよ、自由に書いた結果この長さでまとまったにせよ、小説としての構成力がなさすぎるね。ホラー小説大賞受賞の『ジュリエット』という小説も読んだハズだけどまったく内容憶えてないし、消えてしまったのもむべなるかな、という哀しい作品でした。
評価はC−。

橋をわたる (角川ホラー文庫)

橋をわたる (角川ホラー文庫)