花村萬月『ゴッド・ブレイス物語』集英社文庫

ネタバレ特になし。
小説すばる大賞受賞のデビュー作。
ブルース・バンドのロード・ノベル。暴力描写こそほとんどないが、あっけらかんとした性描写はこの頃から既にお手のものですね。主人公の少女のキャラクタと、周辺のクセのある面々との交情の機微は、この作家の軽やかで端整な筆にはベストマッチだ。
「音楽小説」としても、なかなかオーソドックスな盛り上げ方がされていて逆に意外だった。物語として、また自分の持ち味に逆らわないという意味で、正直な小説だと思う。
評価はC+。