ネタバレ特になし。
主宰していたミニコミ誌「草の根通信」に寄せた、身辺雑記エッセィ集。
ユーモラスで温かみのある筆致。内容とその視座も、優しい父として、恋女房にメロメロの夫として、売れない作家である自嘲は滲ませながらもあくまで楽天的。
社会運動家として、硬骨のノンフィクション作家としてのストイックなイメージとは遠いが、共通しているのはその「優しさ」であって、そのノンフィクション作品が、虐げられ、孤立し、しかし信念の戦いを曲げなかった者たちを描いて最も輝いたことが、自然に頷ける本です。
松田哲夫氏の愛に満ちた解説も珠玉。作家と編集の関係として理想的ですね…。
評価はB。