『誰も知らない』

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母親に育児放棄され、アパートの一室に取り残された四人きょうだいの生活を描くドラマ。

分かってはいたことだけど、なんとも胸の塞がれる思いのする映画でした。育児放棄の母親に対する怒りというより、なにかもっと大きなものへの絶望と諦観に襲われます。15年以上前の作品、さらにモチーフとなった事件は30年以上前のものなのに、それが社会的批評性をなんら失っていないということは、現在に至るまで、何人も存在していた彼ら…子供たち、だけではなく…を、この国の社会保障が見殺しにしてきたという事実を裏書きするものです。新自由主義と自己責任論者に死を、なんて言っても、そんな怒りの矛先は何も引っ掻くことができていないように感じます。

絶望を、地獄を、それと感じる事さえできない子供たちがいたわしく、またそんな中でも彼らがひたすら成長していく姿に、言葉にできない感情をおぼえました。今も日本の、世界のどこかに生きている「彼ら」が、当たり前の生を送れるようになることを願ってやみません。

柳楽優弥は、これ一作で史上語り継がれる仕事をしたというべき存在感でした。しかし「伝説の子役」とならずに、俳優業をサヴァイヴしてくれそうなのはさらに喜ばしいことだと思います。京子役北浦愛さんもとてもよかった。

誰も知らない