ネタバレ注意。
主人公の少女が、アイドルとしての活動に懊悩しつつ、伝説のポルノ女優だった亡き母親の足跡をたどるドキュメント映画の撮影を通して成長していく、ビルドゥングス・ロマン長編。
というあらすじからしても、ごちゃごちゃと夾雑がうるさい小説だった。母親をめぐるメインストーリィは面白いし、いとが小向にカメラ向けられた時の感情の動きとか、惹かれる描写も多かったので、こっちで押してくれたよかったのに。
現代における「アイドル」の消費の問題は、そりゃフェミニズム的に追及糾弾が必要なものだと思うけど、このお話の中では処理が安直で、ただ現実をなぞってるだけのレベルに思えるし、「世田谷のおじさん」とのエピソードとか、いきなり《彼女たちは光だった》とか言って被虐者の連帯感に救いを押し込んでしまうところとか、どうにも短絡・消化不良に鼻白んでしまうところが多かった。
あとママの豊胸オチ、『火花』とかぶってる。
評価はC-。