東野圭吾『むかし僕が死んだ家』講談社文庫

ネタバレ注意。
山中の無人の家で、ひと組の男女が失われた記憶を探索する、一幕劇ミステリ。
遺された日記というテキストに託して、なかなかトリッキィなことやってはいるけど、新味という点はみとめられない。「墓」ってファクタが提示されてすぐ「クノッソス宮殿」なんて遥かにスケールの大きい例示があるのは雰囲気を壊してるし、沙也加が倉橋家に引き取られる経緯とか、プロットの詰めに甘さも見受けられる。虐待云々、沙也加の造形もちょっと安直に感じられたけど、ラストの余韻はまずまずだった。
…売れっ子に対しては、どうしても点が辛くなります。
評価はC+。

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)