江國香織『つめたいよるに』新潮文庫

ネタバレ一応注意。
短編集。親本『つめたいよるに』『あたたかなお皿』の合本。
表題の方は、少しホラーやファンタジィの手触りのする、「すこしふしぎ」なシリーズ。かなりスウィーツ感のする作品も散見される*1けど、「夏の少し前」とか「スイート・ラバーズ」とか、せつない系のお話はよかったな。老夫婦に弱いんかな。
『あたたかなお皿』の連作は親本で既読。より掌編に近い分量の、恋愛や家族をめぐるお話たち。記憶にあった*2「藤島さんの来る日」はいまいち感心せず*3、「晴れた空の下で」なんかがよかったな。やっぱ老夫婦やんけ。
評価はC+(一部既読)。

つめたいよるに (新潮文庫)

つめたいよるに (新潮文庫)

しかし表紙酷い。

*1:「デューク」とかな。模試の問題文であったなあ。

*2:なんか書店のバイト仲間で江國香織好きって男の子がいて、語った記憶があるわ。童貞なりに「女心って深い…」みたいに感じ入ったんやな。

*3:そうした「女性」描写をめぐる感興はむしろ「冬の日、防衛庁にて」に深かった。怖いなこの話…。