宮部みゆき『心とろかすような』創元推理文庫

ネタバレ一応注意。
引退警察犬・マサシリーズの中短編集。
「マサ、留守番する」を筆頭に、犬主人公犬視点である必然性やその愉しみが発揮される場面が多くてよかった。その分前作であれだけ思い入れをこめて描かれていた進也クンがかなり後退してしまったのは同情すべきところ…でも全然こっちのが評価できるけどね。
プロット⇔ストーリィの連動に性急さが散見されるのは宮部の現代ものにはまま見られるところではあるけど、「白い騎士は歌う」なんかはその中でも胸に迫るせつなさがあってなかなかよかった。
評価はB−。