ネタバレ一応注意。
世紀のポップスター、「ジョン」の軽井沢での隠棲と、そこでめぐりあう不可思議、それを通じての再生を描いた小説。
ナイーブなポップスターの煩悶はコミカルで、作中に流れる時間のおだやかさとあいまって、心地よく読める小説ではあった。プロットとしては若干安直ではあるが…。
世代じゃない僕は、どうしてもビートルズ/ジョン・レノンの史料として読んでしまう部分が大きかったけれど、本当は「ウランバーナ」の情景に見られる様々な日本的な風情を、異邦の天才の目を通して再発見する、というあたりに価値のある小説ではないかと思います。
こないだ厭らしかったビートルズ礼賛の気配は感じられなかった。そういうところは巧い作家ですよね。
評価はB−。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/08/10
- メディア: 文庫
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