牧野修『病の世紀』角川ホラー文庫

ネタバレ注意。
牧野修も、ホラー文庫はこれが最後。
で、その括りの中では一番面白かったです。未知の細菌やウイルスや疾病に日本が侵食されるバイオホラーで、それぞれの「病」のアイデアにはどれも「奇想」としての妙味があったし、レイシストとか電波ちゃんとか、あるいは「病」で脳をヤラれちゃった人とか、続々出てくるイタい人々の描写もまた愉しい。マリアの「針千本飲ます」とかは、別の意味で(純粋に)痛かったけどね。
あと何か付記するとすれば、平田がロバートソンの自殺を偽装するのはどう見ても無理だし、黒幕であるIRNIの動機がなんだか適当だったりとツメの甘い部分も散見されましたが、まあそんなところをつつくのは野暮というものでしようね。
評価はB−。

病の世紀 (角川ホラー文庫)

病の世紀 (角川ホラー文庫)