石川雅之「もやしもん 8」講談社イブニングKC

ビール編。
最初の薀蓄部分なんかは、あーこの漫画読んでるとホント酒飲みたくなるなー、あとやっぱ亜矢さんかわいいなーつってまあ漫然と読んでいたのだけど、話がオクトーバー・フェストに入ると、まさかの激アツな展開に心踊りまくり、やがて武藤のひとことで泣いてしまった。

ビールはね 笑顔が一番似合う飲み物なんだよ
それがあたしの「ビールとは何か」の答えなんだ
だからこの祭りで
誰一人笑顔じゃなく校門を出ることは許さないわよ
(174p)

まさか『もやしもん』で、まして武藤に泣かされるとは思わなかったです。
基調としてのウェルメイドなコメディにアツいドラマを絡めて、さらには緻密を極める圧巻の作画。心地いいまったりした空気の中に凄みが潜む、充実の巻でした。
実在の地ビール工房とのコラボレーションとか、「大手」ビール会社への目配りとか、現実との切り結び方も素晴らしい。かつて某社某スーパードライを一方的にこき下ろした、某グルメ漫画がいかに精神的に貧しいか知れようというものです。
…まあカブれてたけどね、俺。

もやしもん(8) (イブニングKC)

もやしもん(8) (イブニングKC)