ひょんなことから、ワイド版で全巻集めることに。
そして、10年ぶりぐらいの再読。
…傑作です。
あだち充の最高傑作であることはもちろん、「ラブコメ」というくくりにおいては日本マンガ史上最高傑作であり、さらにそのラストシーンもまた史上最も感動的なものだと思います。あだち充のファンだった叔父の蔵書を小学生の時に読んでいたく感動して、マンガ原体験の一つだったこの作品。完全に記憶していてなお、ラストシーンでは笑い泣きしてしまいました。すげえよコレもう。
緩急と抑制に絶妙の計算が効いた、画面構成・ストーリーとそれを運ぶ伏線、セリフ。きわめて「あだち的」に粋なセンスが結実していて、マンガ表現としての一つの理想形と感じられる。
そしてその中で魅力的に立ちあがってくるキャラクタ。特に何度も言うけどマンガ史上最高のツンデレヒロイン、二ノ宮亜美の造形は出色。なぜ青春マンガのヒロインのイコンとして、浅倉南が絶対視されているのか分かりません。こっちのが100倍魅力的なのに。特にワイド版3巻あたりの過渡期的な表現、終盤のうねりの中での煩悶と、それをひっくり返す名セリフ≪勝ちそうなほうよ≫、そしてラストの絶対的なカタルシス。感情を揺さぶる緩急の表現がパーフェクトで、作者がニヤけながら描いてるのが想像できます。かわいすぎるw
「さ、亜美を助けに行くぞ。」
「はい。」
(6巻365p)
あー、思いだすだけでニヤニヤしてまうわ。
『タッチ』とか『H2』、この作家の他の「代表作」にはあまり入れ込んだ記憶はなくて。やはりこの作品は別格だなあと再認識した次第。
しかしもこみちはないわ。どこをどう読んだらそうなんねん。
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