福岡伸一『生物と無生物のあいだ』講談社現代新書

ネタバレ特になし。
今更ですがベストセラです。
サイエンス・ノンフィクションとして、スリルとそしてこれ以上ないロマンが感じられる。DNAの構造とタンパク質のトポロジィ、生命のダイナミズムを通じて。これが売れるってのは日本の読書シーンも捨てたものではありませんな。
一流の研究者でありながら、これだけの文章家でもあるってのは新しい。羨望です。「ニューヨークの振動」なんて脈絡をやや無視して描かれる浪漫描写は、香り高い詩文の趣さえあって。研究者たちのドラマや著者自身の来し方も、上質なロマン(って単語最近使いすぎ)の香気たっぷりだ。
評価はB+。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)