道尾秀介『向日葵の咲かない夏』新潮社

ネタバレ一応注意。
ミステリ業界では話題の作家。
この作品は確か、本格ミステリ大賞ノミネート作品だった筈で、結構期待していたのです…が。
麻耶雄嵩『神様ゲーム』を彷彿させる、インモラルで不条理な世界観の下展開されるアンファン・テリブルもの。この不条理にどんな整合性つけてくれるもんかと思ってたけど、「本格」としての整合性は結局つかなかった。ロジックに奉仕する質のものでもないし。作家としての出自も考え合わせて、「ホラーとミステリの融合」を志向する作家として捉えて読むのが正しいのだろうけど、俺が求めてたものとは違ってた。
…と個人的・勝手な期待ばかりを述べてしまいましたが、「本格」としてのロジックの構築という点においてもやや不満の残る内容でした。主人公自ら、「物語がこんがらがった」とか云っちゃってますしね。

作品の評価はＣ。

向日葵の咲かない夏