近藤史恵『砂漠の悪魔』講談社文庫

ネタバレ注意。

友人を自死に追いやったことにより、恐喝されて運び屋に手を染める大学生の中国彷徨を描く長編。

暗黒トラベル・ミステリだが、リーダビリティが発揮されていて読まされる。ノワールとしての迫力、青春小説としてのビターなせつなさもある。ラストこそメルヘンじみてはいるが。

それでもそのメルヘンぶりは、終盤でタイトルの含意が明らかになる衝撃の展開によってもたらされたものでもあり…なかなかのインパクトでした。怪作だと思います。

評価はC+。