T.S.ストリブリング/倉阪鬼一郎(訳)『カリブ諸島の手がかり』河出文庫

ネタバレ注意。
アメリカ人心理学者・ポジオリ教授が、休暇で訪れたカリブ諸島の島々で怪事件に遭遇する、シリーズ短編集。
キュラソーだのハイチだのバルバドスだの、名前だけ聞いてもエキゾチックな舞台/道具立てに、正統派フーダニットやら冒険小説風味やらプロットも多彩に盛り込んで、読み応えは満点の作品集です。
でもまあ、本格ミステリとしては並のレベルだし、C+ってとこかな…なんて読んでたら、ラスト「ベナレスへの道」で見事にやられました。衝撃的なオチだけでなく、真犯人の造形含め、物語の構造が極めてラディカルです。
黄金期以前にこんな先鋭的な本格ミステリが書かれてたって、やはり本邦は凄いですね…なんて素朴な感想だけど、作品自体素朴派みたいな感じで、なかなか上手くまとめた感想かもな、なんて。
評価はB。

カリブ諸島の手がかり (河出文庫)

カリブ諸島の手がかり (河出文庫)