都筑道夫『都筑道夫コレクション 《時代篇》 魔海風雲録』光文社文庫

ネタバレ一応注意。
真田十勇士が活躍する時代伝奇の表題作はデビュー長編。その他「善亭武升」シリーズの捕物帖三短編と、エドワード・モースを探偵役にしたジャポネスク・ミステリ短編「西郷星」を収録。
長編と捕物帖に関しては、その独特の文章・世界観構築をさすがと思いはしても、個人的に相性のよいものではない、という印象は現代ものとも同様。「西郷星」は実在人物探偵、明治居留地舞台と好みの要素があったし、時代伝奇活劇や捕物帖と比べてもノーブルな印象が勝ってよかった。
しかしそうした個人的な印象と別に思うところでは、選集通読してて、ホントなんでも…どんなジャンルでも一定以上のレベルで…書けてしまうジェネラリストであると同時に、それぞれ多彩で傾向バラバラな作品群においても、何か通底した書き味、独特の味わいがあるなあと。やはり天才ではあるのだと思う。
評価はC+。

魔海風雲録 (光文社文庫)

魔海風雲録 (光文社文庫)