平石貴樹『笑ってジグソー、殺してパズル』創元推理文庫

ネタバレ注意。
ジグソーパズル愛好家の富豪の一族を襲う連続殺人。
A-獲得の『誰もがポオを愛していた』以来久々に読んだけど、それ故に事前の期待が高すぎたかな、という印象。
本格を小説として成立させるのは巧い作家*1だと思うし、パズルのピースになぞらえた章立ても愉しいギミック。女名探偵・ニッキの存在感も、久々に読んでも際立っていたし、解決編の執拗さも好ましい…のだが。
不満はなんだろう、パズルのピースを使ったメイン・トリックが、長編、さらにこのクオリティの小説のメインに据えられるには力不足だなって、その印象なんだろうな。好感度の高い本格推理小説なんだけど、それだけに肩すかし感が否めない。
評価はC+。

*1:東大の英米文学の名誉教授で、すばる文学賞出身だってね。