『羅生門』

VOD。
説明不要の芥川×黒澤明。人心の荒廃した平安期の京都で、ある殺人をめぐって関係者の証言が食い違う様を描く。
シンプルで、それゆえに力のあるストーリィ。もっとこみいったリドル・ストーリィかと思っていたけど、人間のエゴイズム、その浅ましさにフォーカスして揺るぎない。ラストの展開はちょっと、俺には救いと感じられなかったけど、それは千秋実B-DASHのヴォーカルに見え続けていて集中できていなかったせいかもしれない。
モノクロの画面で、羅生門近景の荒涼は当然の好相性としても、「藪の中」と、そこに蠢く人間たちを、なまなましく映し出す光の表現はさすが。緊張感に満ちた映像美だった。
あと特筆すべきはやはり三船敏郎か。クソみたいな悪漢を演じてなお凄味のある格好良さ、京マチ子に罵倒されて叱られた柴犬みたいになってるとこもかわいかった。スターだわ。