皆川博子『ペガサスの挽歌』烏有書林

ネタバレ一応注意。
単行本未収録作品集。
初期児童文学作品にもレアさから気を惹かれるし、特に「コンクリ虫」のユーモアと可愛げは新鮮で楽しいけれど、やはり幻想耽美短編、その皆川作品の真髄たる妖しく爛れながらも無二に美しい世界観は、なんでコレが単行本未収録で転がってんだって完成度。視覚も嗅覚*1も触覚も、妖しく慰撫されるような文学体験、「日本語の醍醐味」って大仰な叢書名も、この本に関しては伊達じゃないね。
ベストを挙げるならやはり表題作だろうけど、「家族の死」の少女たちのそら恐ろしさにも惹かれるなあ。
評価はB。

ペガサスの挽歌 (シリーズ 日本語の醍醐味 4)

ペガサスの挽歌 (シリーズ 日本語の醍醐味 4)

*1:特に「悪露」って単語、もうそれだけで…。