ネタバレ注意。
連続棋士失踪事件とその周辺の謎を描く長編。
棋士たちの日常・世界観を丁寧端正に描きつつ、矢文で届けられる「不詰め」とか、魔道の将棋を教義とする新興宗教とか、非常に蠱惑的なケレンを畳み掛け、特に序盤は圧倒的に引き込まれる。読みながら「面白れー」つって呟くこと数回…なかなかないっす。
しかし、裏社会との関連やヒロインの意外に凡庸なファム・ファタルぶりなど、後半になるにつれてテンションが維持されない場面が目につきだして残念だった。クワコーシリーズまでとはもちろん言わんけれど、作者一流のユーモアを体現するようなキャラが一人ぐらいいてもいいのにな、なんてないものねだりも。
評価はB。