Cocco "Cocco25周年ベストツアー2022 ~其の1~"

2022.11.30@広島クラブクアトロ

最高でした。一日経った今でも余韻に涙ぐみます。

しかしベスト盤のレコ発以来やったんやな…もう10年以上前かよ、という嘆息。アルバムのレコ発に行けていない身を恥じつつ、しかし歴年のリスナとして、25周年ライヴに参戦する資格はあるだろうという自負もあり。そしてその期待が完全に満たされる、素晴らしいライヴでした。いきなりの「強く儚い者たち」から多幸感ヤバかったです。

皆それぞれ彼女の歌と25年を過ごしてきたのだろうという年輪の見て取れるお仲間たちと、正にCoccoというアーティストの歴史をなぞるような代表曲揃いの神セトリ、彼女の歌と、自然に想起されるそれと共にあった自分の記憶に身を任せて、曲ごとに万雷の拍手で喝采と祝福ができる、とても幸福なクアトロでした。他ではなかったらしいMC、そこで彼女が言ってくれた言葉が、何よりその空間のプレシャスさを表していたと思います。あんな嬉しいことってないっすよね、皆さん。

逆光の中の笑顔と、伸びやかで楽し気な挙動を観ているだけで充分でしたが、ちゃんと聴いてた備忘で何曲か挙げましょう。最大に涙腺が決壊したのは「雲路の果て」でした。号泣したのでマスクがあってよかった…自分のツボが分からんけど、「星に願いを」とかも最高にエモかったので、ハードな曲のライヴ映えゆえでしょう。素晴らしかった。ライヴ映えという意味では、最近の楽曲の歌詞の抽象性や大らかさ、正直もっと鋭くエグい詩作が好みだな…なんて思っていたのですが、ライヴにおいてはそれがスケール感と鮮烈さに繋がっていて、逆によかったです。「有終の美」や「潮満ちぬ」…ヤバかったな。最新曲もそれぞれ、「お望み通り」のアゲアゲ手拍子楽しかったし、「哀想歌」も心臓をぎゅっと握られて、素敵なアクセントでした。

しかし、Coccoみたいな芸術家がちゃんと発見されて、まあいろいろありつつも25年、その表現を磨き続けてこれたってのは、日本の音楽シーンにおける最大の奇跡だと思うよ…この日集まったお仲間たちのそれぞれの思いも、その奇跡に確実に貢献していると思います。皆さま、25周年おめでとうございます。

汚れたスカート
ひるがえして
胸張って行くよ

いつだって きっと
ちゃんと 笑ってるよ

私は 大丈夫
(「有終の美」)

次は10年も開けずに会いに行きます。

セットリスト:1.強く儚い者たち 2.カウントダウン 3.雲路の果て 4.樹海の糸 5.遺書。 6.晴れすぎた空 7.星に願いを 8.風化風葬 9.やわらかな傷痕 10.有終の美 11.BEAUTIFUL DAYS 12.お望み通り 13.Raining 14.海辺に咲くばらのお話 15.藍に深し 16.焼け野が原 17.潮満ちぬ 18.哀想歌 19.羽根~lay down my arms~