森絵都『異国のおじさんを伴う』文春文庫

ネタバレ注意。

短編集。

ディスコミュニケーション、ないしは異文化との邂逅の中で、断絶を超えて通じ合うもの、というのが森絵都という作家の大事なテーマなんだな、というのが自然と感じられる、多彩で自由ながらも筋の通った作品集。

最もシンプルなワンシチュエーション・コメディ「ラストシーン」なんか端的だった*1し、「桂川里香子、危機一髪」もそれを逆照射していた。

特に好きだったのは、そのどちらかというと小品である二編だったが、結局愉快なものが好きなんだなと。その他にも、表題作もどうしたらこんな話思いつくねんと笑ってしまったし、「母の北上」もなかなかにキレた日常の謎だった。

評価はB-。

*1:『情婦』、観ねば…。