ネタバレ特になし。
強制捜査後に脱会した元出家信者の手記。
村上春樹が褒めていただけあって、オウム関連の読み物の中でもかなり上位の面白さだった。村井秀夫と、その下での「ワーク」の実態もそうだけど、何より井上嘉浩の人となりの描写は非常に興味深い。他ではよく、承認欲求と猜疑心を肥大化させた小人物に描かれていたりするので…。
出家中から批判的な視点を持っていて、イニシエーションの様子とか冷静に描出されてるけど、そんな人でも強制捜査の前後では完全にパニックになっていて、恐ろしいなと思った。アイデンティティ・クライシスそのものだよなマジで。
こういう人たちの、真実を求める真摯で切実な思いも、完全に潰されてしまったな…。
評価はB。