天祢涼『葬式組曲』双葉文庫

ネタバレ注意。

葬式に重税がかけられ、火葬のみを行う簡易な「直葬」が主流となった日本で、独自の地方税制により従来の葬式が行われているS県を舞台に、北条葬儀社と女社長・紫苑が遭遇する、葬式をめぐる事件を描く連作。

面白い題材だし、葬式のディテールや蘊蓄の部分にも、自分が近過去に喪主やっただけに親しさがある。連作としても野心的で、作者がまずプチブレイクした作であるのも分かるが、個人的にはこの世界観で主眼にしただろうホワイダニットの部分が、いまひとつハマらなかった感があった。込み入り過ぎで、もう少しスマートに読ませてほしかった。

評価はC。