L.ベルリン/岸本佐知子(訳)『掃除婦のための手引き書』講談社文庫

ネタバレ一応注意。

波乱万丈の人生を送った米女流作家の作品集。

ほとんどすべてが作家の自伝的要素を含む短編だが、そのヴァラエティの豊かさと共に、苛烈な人生や負の感情が描かれる中でも、通底してあるこの光輝のようなものはなんなんだろうな、と思う。文学的才能などと呼んでしまうのはあまりにチープな、とても格好良いなにものか。

特には唯一視点が変えられた「さあ土曜日だ」が、一番ベタだけど素敵だった。

評価はB-。