恩田陸『私と踊って』新潮文庫

ネタバレ注意。

ノンシリーズ短編集。

まずはダントツで表題作がよかったなー。「踊る」ことをなかだちとした二人の少女の友情物語、とても詩的で絵画的で、ラストではちょっと震えました。

「心変わり」「思い違い」といったミステリ色の濃い小品、「台北小夜曲」「火星の運河」といった台湾エキゾティズムが彩る幻想短編、なんてことのない語りの中に胸詰まる哀切を宿すワンシチュエーション・ホラー「弁明」など、豊かなバラエティの中に作者の感性と技巧が筋を通す、品質の高い作品集と思いました。

評価はB-。