P.マガー/中野圭二(訳)『被害者を探せ!』創元推理文庫

ネタバレ注意。

戦地で暇を持て余す海兵隊員たちが、被害者名が破られた殺人事件記事と、それに縁のある仲間の証言を元に、「被害者探し」をする趣向の長編。

まずこの独創的なアイデア、その始祖たる価値は充分に認められる…のっけからワクワクさせてくれる、稚気に満ちた作品です。「家事改善協会」なる組織の人間模様が延々と綴られていくのも、並の筆なら退屈しそうなところ、発端のアイデアと吸引力のままに引っ張ってくれます。

真相としてはまあ、「誰に対してキレやすかったか」という、心理的推測の域を出ないもので、ロジックとまでは言えなかったけれど、パズル的な興趣はありましたね。

評価はC+。