高野史緒『翼竜館の宝石商人』講談社文庫

ネタバレ注意。

17世紀、ペストの瘴気忍び寄るアムステルダムを舞台に、レンブラントの画が絡む死と再生の謎が描かれる長編。

歴史伝奇的、芸術伝記的な興趣はあるけど、肝心の事件とドラマに関しては、なんだかずっと焦点がボヤけていたような印象がした。これだったら本格王道の、探偵がいて助手がいて、捜査機関と喧嘩しながら推理をすすめて…みたいな形式が安定感あったんちゃうかな。

トリックはシンプルでよかったけど、幻想小説味が若干夾雑だった。まあ単なる好みの話であるかもしれず、難しいところですよね。

評価はC。