2021年衆議院議員総選挙における、香川1区での戦いを描くドキュメント。
小川淳也という人間のピュアネスが、周りを巻き込んで熱を生んでいく様子が伝わる、エモーショナルな作品。平井卓也はもとより、田崎史郎だの、撮影を邪魔してくるオヤジだの、QRコードをダウンロードしてくださいとか言ってしまう陣営幹部だの、薄っぺらすぎる維新候補だの、相手方もまたその渦に巻き込まれて、期せずして「撮れ高」を献上してしまう様子が、まさにドキュメントの醍醐味として現出しています。キレられて引いてるスシロー、初めてかわいいと思ったわ。
クライマックスでのカタルシスには相当のものがあるし、その極点たる娘さんのスピーチには落涙を禁じ得なかった。しかしここに描かれている、旧来の日本政治に対するブレイクスルーはまだまだ局地的・散発的な現象であって、その閉塞感を打ち破るのがなにものかというのは、観る人に問われているところのものでしょう。
上映後の、河合事件を追われた記者と監督とのトークショウまで含めて堪能しました。楽しくなくちゃ意味がないという言葉通りの、エンターテインなドキュメント、素晴らしい仕事に敬意を表します。
