G.オーウェル/高橋和久(訳)『一九八四年』ハヤカワepi文庫

ネタバレ注意。

「ビッグ・ブラザー」に支配された監視社会を描くディストピアSF。

言わずと知れたクラシックで、未読を恥じるばかりです。批評性、寓意性については今さら言及するものでもないという感じですが、「ニュースピーク」に関するディテールは、このテの小説では出色のうすら寒さがあると思いました。それぞれの世界が脱色され、意味を剥ぎ取られていくような…。

実際のところ、イメージよりかなりスターリニズム批判が強かったけど、端整かつ稠密に構築されたディストピア世界は、その雰囲気を伝える資料としても愉しめました。

評価はB-。