ネタバレ注意。
京大時代の御手洗の語りによるシリーズ短編集。
…というか、太平洋戦争時に徴用された韓国人のきょうだいの悲劇とか、新彊ウイグルの首都カシュガルの歴史ロマンとか、古今東西を跳梁する島荘節の語りの芸を読まされるだけです。特に「戻り橋と悲願花」「追憶のカシュガル」の二編は読み応えたっぷり、前者の曼殊沙華をめぐるヴィジョンなど、さすが島荘という大技に唸りました。
「シェフィールドの奇跡」も含め、弱き者、虐げられた者への視点がダイナミックな物語性に結実するのが島荘ロマンなのに、なぜ大統領選に対してはあのザマだったのか…。
評価はB。