石井光太『物乞う仏陀』文春文庫

ネタバレ特になし。

アジア各国の「乞食」をめぐるルポルタージュ

この作家初めて読んだけど、迫真的な社会性と紀行趣味を兼備して、いい読み物でした。沢木耕太郎基準だと文章に物足りなさを感じる部分はありますが、ないものねだり。

ネパールのジャンキーとか、カンボジア地雷犠牲者の村とか、それぞれの悲劇に軽重の差はないけれど、インドのマフィアによる乞食ビジネスは圧倒的に深い闇。人間のなし得る事とは思えないグロテスクさに、読み進む忌避反応さえ。

評価はC+。