深木章子『ミネルヴァの報復』角川文庫

ネタバレ一応注意。

弁護士・横手皐月が巻き込まれる殺人事件を描くリーガル本格。

リーガル・ミステリと言うには法廷シーンがなく物足りないが、その分はそこに至る過程での弁護士お仕事ミステリとして補填。本職らしく読ませる。

質実剛健たる筆致の中に巡らされる伏線術など本格としての見所もあるが、個人的に感じ入るところまではいかなかった。基本的にあまり好きな筆質ではないってのが正直なところだけど、このいかにも生真面目な筆致と、たまに出てくるグルメ描写のアレな感じをどうイジっていいのか、初読の作家さんなので距離の取り方に迷うところです。

評価はC。