小川哲『ゲームの王国』ハヤカワ文庫JA

ネタバレ注意。

1956年からのカンボジア近現代史と、2023年の近未来とを繋げて描かれる、「ゲームの王国」をめぐる長編SF。

クメール・ルージュが(不謹慎ながら)大好物のネタってこともあって、上巻、マジック・リアリズムで描かれるカンボジア近現代史はめちゃくちゃ面白かった。これはヤバいことになるんじゃねえかと思ったけど、下巻のお話が脳科学とゲームサイエンスを中心にサイエンス・フィクションの王道を進み始めると、個人的にはどうしてもテンションが落ちてしまったな。ヘモグロビン関係とか爆笑したけど、どう考えてもそういうことじゃないw

しかし「マジック・リアリズムで描かれるキリング・フィールド」ってのは貴重な読み物です。歴史小説としても読みごたえがあってアゲられたので、参考文献にも手を伸ばすことになると思います。

評価はB。

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:小川 哲
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: 文庫
ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:小川 哲
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: 文庫