ネタバレ一応注意。
伊藤野枝の評伝小説。
火の玉娘の太く短い生を、それに関わる人々の視点も交えて精細に描いて読み応えがある。なにかこう、興奮に毛が逆立つようなシーン、哀感に涙が滲むシーンとあって、このエモーションは彼女の生き様が否応なく喚起するものだなあと思うと、そりゃ(特に女性)作家は描きたくなるよなあと思う。寂聴のそれより爽やかで好みだったわ。
大杉渡仏以降は駆け足だけど、じっくりやられてもいたたまれないしやむを得ないかな。そしてやっぱ後藤新平かっけえ。現代の為政者に望むべくもない器量。そしてそれに対しての日本史上最高の啖呵、
あなたは一国の為政者でも私よりは弱い。
(491p)
何回読んでもブチ上がるわ。
評価はB。