10thフル。
前作までは中村一義名義でカウントしてたから、それに従えば7thだけど、まあここまでまんまのタイトルにされたら、100s名義も含めて数え直さざるを得ない。
流行り歌で聴いた『明るい未来』ってなぁ、ここにはねぇが。
だが、どうしたって、ド地獄から、塗り替えりゃあ、いい。
(「叶しみの道」)
メロディや世界観はブルージィに、どこかしら哀調を帯びる場面が多く、そしてそれが独特のポップセンスと絡み合った、味わいの深い作品です。劈頭「叶しみの道」での、「哀しみ」が「叶しみ」へと転じるヴィジョンは、アルバム全体を通しても、ラスト「愛にしたわ。」という光の風景へと開けていく、ポジティヴな美しさの対照を描いています。
その流れの中で、「十」は単なる数字でなく、様々な…人々の、あるいは人を超えて想われるものとの…出会いや別れ、感情や記憶の交差、つまり我々の生そのものの象徴であると思い至ります。2月リリースなので、現代の情勢変化の以前に作成されたものですが、そこでの主題が近々未来を射抜いてしまうこと、それは優れた表現者であることのなによりの証左だと思います。
ねぇ、愛にしたわ。ねぇ、逢いに行くわ。
どうせ、ふたつは無理なら、そうね、いっこ。
愛にしたら、ねぇ、愛、感じた!?
この、暗い銀河の向こう、かも…。
(「愛にしたわ。」)
記念すべき十作目。ここからまた始まる人生の歌。
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- アーティスト:中村一義
- 発売日: 2020/02/05
- メディア: CD