島田荘司『新しい十五匹のネズミのフライ』新潮文庫

ネタバレ注意。

副題「ジョン・H・ワトソンの冒険」。島荘流ホームズ・パスティッシュ長編。

原典の取り込み方、この大部でなお書き足りなさそうな質量、島荘ってシャーロキアンやったんやなーって再理解される力作です。

そもそも御手洗と石岡の関係性はそのまんまだったな…。聖典に思い入れが乏しく、むしろ御手洗ものの亜流みたいに感じてしまう、ミステリファンにあるまじき本末転倒ぶりなので、この本のワトソンくんのドタバタ大冒険も、結果として不可避の失恋も、石岡なればさもありなん、などと思ってしまいました。

そうか、コレはインド戦線からロンドンに帰還したワトソンの『異邦の騎士』なんだな、なんて。そう考えると(?)若干の冗長のきらいはあるかな。

評価はC+。