ネタバレ一応注意。
前漢時代の中国、地方の名家一族を襲う連続殺人を描く、華文ミステリ長編。
評判を聞いて、ずっと読みたかったのでようやく…という感じだったので、ちょっと期待が高すぎたか。中国哲学や漢籍といったガジェットの部分に足を取られて、苦戦しているうちにミステリとしての本筋も朧にしてしまった印象。
探偵役周辺の少女たちの絡み方とか、確かに日本サブカルの影響が濃くて、そのあたりのアンバランスさも面白いところではある。しかしその分、訳はもうちょっとスムーズに、ライトにならなかったかなーとは思ったな。かなり大変な訳業だっただろうけど。
翻訳ミステリを読む愉しさの一つとしての、異文化体験は充分に与えてくれる本です。
評価はC+。
- 作者:陸 秋槎
- 発売日: 2018/09/05
- メディア: 新書